BlockDuct-C140siは大成功と言えるスピーカーになったと思っていますので、C140siをベースに少し試してみたいことを実践してみました。BlockDuct-C140siは非常にバランスの良いコンパクトなスピーカーでした。それをベースに少しバランスを変えます。解像度を少し下げて、ゆったり鳴らすスピーカーにする意図の設計です。
私の作るスピーカーはキャビネットの鳴きを排除することによる贅肉のないマッシブな音で、浮かび上がる音像と奥行きを伴う広いサウンドステージを特徴としています。特にBlockDuct-B130siやBlockDuct-A138siの表現するステレオイメージは他のどのスピーカーにも負けないものと思っています。
しかし、キャビネットを鳴かせるスピーカーの持つ魅力も抗しがたいものがあります。フィデリティムサウンド社のネイチャーコレクションや、ハーベスのHLコンパクト、タンノイのプレステージシリーズなどはいつ聞いてもその美しい響きに魅了されます。
ということで、うちのスピーカーの魅力—リアルなサウンドステージ—と、美しい響きを両立させることを目指しました。
今作の設計のポイントは側板です。両側板に9ミリという薄板を使用しています。そのためバッフルの幅は98ミリと100ミリを切る極小サイズです。
高さは215ミリで奥行きは320ミリです。
キャビネットの鳴きはステレオイメージにとってはマイナス要因になります。が、しかし、この100mmを切るバッフルの幅は点音源化に限りなく近く、この点ステレオイメージにとってはストロングポイントです。
ということで、側板の鳴きをカバーしうるバッフルを目指します。さて、どうするか。バッフルに少し柔らかめの針葉樹、しかし、針葉樹の中でも広葉樹にちかい頑丈なもの、ということでイエローシダーを選択しました。厚みを22mmとし、質量でバッフルの鳴きを吸収する作戦です。そして天板と背板、底板にアフリカンチーク(12mmと13mm)を使い、側板以外はしっかりとエネルギーを受け止めて、側板はイメージ的には側板自体をパッシブラジエーターのように鳴らすイメージです。
形状的には前作のBlockDuct-C140siを後ろに倒したような形状です。奥行が深い形です。ダクトは中高域の音漏れを軽減するためにリア側下部に設置。ダクト径は26mmで前作より2mm大きくしています。内容積がBlockDuct-C140siより0.8L大きいのでその分径を大きくし、fd値は同じ65Hzにしてあります。
実はこのスピーカーは前作BlockDuct-C140siと同時に作成し聴き比べるつもりだったのですが、BASEに出品後3日で売れてしまったので同時比較視聴はできませんでした。なので、記憶での比較ですが、よく似てはいますがやはり中低域がこちらの新作BlockDuct-C141siの方が厚みがあります。奥行を深く取るスタイルの方が低域に厚みが出ることはこれまで何度も実験済みなので予想はしていました。しかし、それ以上に側板の影響があるのかもしれません。
とにかく何この低域は?という音に少し驚いたくらいです。思わずf特測ってしまいましたが、50hzくらいからフラットに再生しています。むー、すげえなー、わし天才やな、と1人ドヤ顔です。
そしてステレオイメージですが、これは予想通り。前作BlockDuct-C140siに若干劣ります。劣ると言ってもほんの少しですが。そして低域の厚みは少し勝っています。
JuveAcousticsの音としては若干ファットですが、こちらの方が万人受けする音と言えるかもしれません。
またしても名器を産み出してしまったぜ。
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