オーディオ再生にとって低域の再生はとても困難で難しいテーマです。質を求めなければさほど難しいことではありませんが。
美しくフォーカスする演奏者の音像を邪魔しないノイズを含まない純粋な音のみの低域再生はなかなか難しいことであります。
例えばどんなに締まった低域のスピーカーであっても、40~60Hzの重低音と言われるような帯域では、部屋の影響を大きく受けるので設置場所には注意が必要になります。
スタンドなどでフリースタンディングで設置した場合と、壁に近い場所に設置した場合では、低域の量が全然変わってしまいます。それが良く分かる動画を撮ってみました。
同じスピーカーですが、コーナーに近い場所に設置すると重低音と言われる帯域の量がかなり違います。
大型スピーカーを設置する場合、特に注意が必要になります。そもそも盛大に出る低域成分がコーナー付近に設置することにより曖昧で見通しの悪い量だけ盛大な音になってしまう場合があります。
これは部屋の大きさや床の素材、強度、天井の高さ、置いてある家具などによってころころと変わることなので、こうすれば良い、と一概に言えないところです。そして状況によってはコーナーであっても低域が抜けてしまう状況もあります。
オーディオは奥が深い、とはよく聞く言葉ですが、この部屋の影響が大きくその原因になっていることが多いと考えています。同じ音響特性の部屋はないため、こうすれば良い、という公式的なものが立てにくいからです。
部屋がダメだといくらやっても良い音にならない?そんなことはありません。ダメな部屋なんてのはありません。
要は部屋の使い方、オーディオの使いこなしです。
動画を撮影した部屋はラックの両サイドに30センチウーハーを搭載した3ウェイスピーカーがあります。このスピーカーの上にセッティングしたスピーカーは低音もりもりになります。コーナーとスピーカー間の奥にある出窓の影響を受けるからです。そして低域は盛大になりますが音像フォーカスは甘くなり、奥に展開する音場は平面的になる傾向があり、明らかに位相が乱された音になります。
これはフリースタンディングでベストなセッティングをしても、フォーカスがピシッと決まらず音像は曖昧に並び奥行表現が出来ない箱が鳴るネットワーク付き市販2ウェイの音のようです。
しかし、通常、スピーカーの音を録るための撮影の場所、それはラックの前にスタンドに乗せてフリースタンディングの状態で再生するその場所ではほぼスピーカーのf特の特性に近い音になります。(多少の凸凹は当然にあります)
さて、ここでこの記事の題名の「f特的低域の量感について」ですが、スピーカーを導入すると多くの人がこのf特的低域の量感についてチェックすると思います。近年はかなり正確にスマホでf特を測定出来るようになっていますので、測定した方も多いかと思います。
しかし、f特とは単なる目安程度でしかありません。中高域は指向性があるのでf特である程度分かることもありますが、低域は当てにならないということを頭に入れてセッティングすることが重要だということをお伝えしたいのです。
そして低域のf特はセッティングに大きく左右される項目であるということを知って頂きたくて上の動画を撮影しました。
スマホのf特測定なので正確ではありませんが、ほぼ正確であることは確認済みです。左右のオレンジの丸図内に注目してください。左右で少し横の線がずれていますがわかると思います。
左がコーナー設置で右がフリースタンディング設置です。
縦の線は48hzです。測定したスマホは同じ位置なのでコーナー設置した方は測定距離が異なっていますし角度も変わっているので、あくまでも参考程度でお考え下さい。
しかし、スマホの位置が変わらない、ということはそこが視聴位置と考えれば実際の違いにはより即した違いになっているとも言えます。
設置場所により45Hz~80Hz付近のレベルが10dbくらい違っています。
実際に聴き比べると同じスピーカー?と思うほど印象が変わって聴こえてしまうんです。
オーディオの使いこなしとして、ある程度部屋の特性を知っておくのはとても重要であると考えています。スピーカーの設置場所は多くの場合定位置のような場所があると思います。そこにスピーカーを設置した場合の特性を知っておくのが重要かな、と思います。
知っていれば、f特で一喜一憂せず済みますし、怪しいグッズに手を出さずに済むようになると思います。私のスピーカーより高額な音響トリートメントグッズ?
オーディオ舐めんなよ。
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