キャビネットを美しく響かせるシリーズ B114

スピーカー

以前エレクトロボイスのS40Bを改造する、という記事とともに作成したスピーカーがあります。

横置きにした状態ですが、これです。これはブロックシリーズとは正反対を目指し、キャビネットを鳴らす前提で設計した実験的挑戦機でした。非常にうまく狙い通りの音が出たのですが、お買い上げいただいたお客様からご感想を頂いたことがきっかけで広葉樹シリーズを始めました。詳細な感想を頂いていますので、良かったらお客様の声にありますのでご一読して頂けると嬉しいです。

上のS40改の響きは単純に広葉樹を薄めにしたもので作る事によって箱を意図的に鳴らした結果なのか、それともキャビネット形状に起因する音の回折効果、つまりバッフル効果によるものなのか?

おそらくそのどちらも影響していると考え、今度は同じ形状のキャビネットで鳴きを抑えたものを作成してみました。バッフル効果による音の影響の再確認のためにです。KENWOODのLS-VH7を改造する、という記事とともに発表したのが、ソレです。

お買い上げいただいた方からは以下のようなご感想を頂きました。

よい物を有難う、元のSPを凌駕する音です、真空管アンプにもよく合います、ユーヴェ工房さんの音へのこだわり
センスの良さを感じます、後はこのSPのポテンシャルをセッテングでどこまで高められるか楽しみです。

こちらも狙い通りの音になったと思っています。そして、点音源を目指した広葉樹シリーズのnonDuct-B126,127,128でキャビネットの響きを確認しました。実はこのシリーズは箱自体の形状はほぼ同じなのです。

左がB114で右がnonDuct-B128です。このように同じ形状のキャビネットのどの面をバッフルにしているか、だけの違いです。(実は板の組み方は違います)

上の2台、音の佇まいは全然違います。nonDuct-B128は点音源のために音の回折効果が最小ですが、今回のB114は一番面積の大きい部分をバッフルにしているために、点音源とは程遠い面音源になっています。nonDuct-B128のほうはステレオイメージの再現を意識した設計になっていて、その通り美しいステレオイメージを再現してくれます。キャビネットの響きは再生音に乗っていますが一番面積の小さい部分(一番強度のある部分)をバッフルにしているために、再生音に乗るキャビネットの響きは「ほんのり」といった具合です。しかし、一番面積の大きな部分をバッフルにしているB114はバッフル自体が響くのでステレオイメージ再生とは別方向の音の佇まいとなります。

そしてこのB114は板厚にも徹底してこだわりました。バッフル、天板、底板、両側板は全て12mmの板厚を採用しています。そして、バッフルの次に影響がある面、この機種の場合はバッフルの対抗面である背板になりますが、この部分は更に薄い11mmを採用しています。

今回採用したのはアフリカンチークと呼ばれるアフリカ産のアサメラ材を採用しています。nonDuct-B126と同じ材です。非常に硬くて重厚な木材で、とても高価です。幅が広いものだと板厚50mmでメーター辺り10万円とかする代物ですぜ。幅20センチなのでずっと安く入手してますけど、とても貴重で効果な材木です。

話は戻りますが、前回大成功したS40改ですが、これはホワイトオークとアフリカケヤキの2種類を使いました。2種類の木材を使うと、当然振動係数が異なりますので2種類の響きのブレンドしたものになります。そこで今回は全面アフリカンチークのみで、この材の響きを存分に再生音に乗せよう、という趣旨の設計になっています。

ブロックシリーズではフルレンジを採用していますが、これには明確な理由があります。ステレオイメージの再現は位相が揃ったハイスピードサウンドが必要です。フルレンジは位相のズレがありません。そのために点音源と鳴かないキャビネットを与えれば、美しいステレオイメージが出現します。

しかし、面音源でキャビネットを鳴かし響かせる場合、多少の位相のズレなど問題になりません。位相のズレは音を3次元的に再生しようとする場合に影響が出るので、面音源による響かせるキャビネットにおいては、2ウェイ化によるネットワークの位相ずれの影響はほぼ関係ありません。今回は3Kクロスの-12db/octのネットワークにしています。もっとも一般的な2ウェイのネットワークと言えるでしょう。-12db/octで位相は60度ずれますが、その影響はバッフル効果よりも少ないと私は考えています。ですので今回のように最大限バッフル効果を狙った面音源の場合、位相の乱れがないフルレンジだとしてもステレオイメージの再現はそもそも無理な話です。

そして今回のB114はショートホーン形状にしてユニットを内付けにしているため、外付けよりも音の回折効果は大きくキャビネットの響きと相まって独特の心地よい響きのスピーカーになっています。

ユニットはウーハーは英国ミッション社製のもの。ツィーターはONKYOのソフトドーム。ネットワークは3Kクロスの-12db/octです。

音の出方は狙い通りです。ステージはスピーカーとスピーカーの間に定位し、奥深くには広がりませんが、部屋全体を響きで満たすようなイメージの音の佇まいです。アフリカンチークの響きが再生音にのり心地よい音場を再現しています。

横置きでも縦置きでも可能なデザインです。

 

ヤフオクにて販売開始しました。

コメント