小型高品位スピーカー

スピーカー

超小型の高品位なスピーカーってのはなかなか見当たりません。そこで小型のスピーカーは昔から良く作っていました。机の上に愛せる小さなスピーカーがあるとオーディオマニアとしては嬉しいものです。

机の上に乗せて邪魔にならないサイズの美しいスピーカー、それでいて音にも満足出来るもの。

そんなものはなかなかありません。

一時期ロジャースのLS3/5aをデスクトップ用に使っていたことがあります。音は、まあ、小音量ですしアンプ頑張れば良かったです。そうアンプ頑張れば。クレルの薄型のコントロールアンプを机の上に乗せて、パワーアンプを足元に置いて。アホか。

しかし、1っか月も立たずに撤去ですよね。邪魔!!

LS3/5aは今は友人宅でメインスピーカーとして頑張っています。

今は優秀なデジタルアンプがたくさんあります。机の上に乗せても邪魔にならないし、そこそこオシャレなデザインのものがたくさんあります。デジタルアンプが出始めた頃から小型スピーカーを作り始めました。

しかし、当初はバスレフで作っていましたので、どうしてもしょぼい音しか出ません。内容積1リットルでバスレフはなかなか無理があります。密閉にするとまともな音にするにはバスレフ以上に小型化は困難です。無理やり小型密閉箱にしアンプでラウドネスオン!ってのも一つの手ではありますけど。

そんな時にブルートゥーススピーカーの登場ですよ。なんじゃこりゃ!なんでこんなバスドラブイブイ出んのよ?とびっくらこきましたですよ。30台以上買いましたね。もっと買ったかも。

で、ばらしまくまりましたよ。ソニーとアンカーを中心にばらして色々調べて作りましたが、低音ブイブイは結局パッシブラジエーターとアンプによる低音増強がもたらしていると判明。なんのことはない(笑)

実際に作ったのはこの倍くらいでしょうか。半分くらいは売ってしまいました。

左端に裏側が写っているのはDENONのSC-V101という市販スピーカーを改造したものです。大体このサイズで密閉箱、しかもバイワイヤとかお金かけるとこ間違ってるよ。一番最初はこのスピーカーの裏側の大半を占めるバイワイヤ対応のスピーカー端子盤を外し、シングルワイヤに変更しバスレフ化しました。それだけで音はずいぶんましになりました。しかしつまらない音なのでこれをパッシブラジエーター式に変えよう、としたのが始まりでした。

これがなかなか上手くいかずに最後はウーハーを変更して無理やりまとめました。ここで学びました。内容積が少ないパッシブラジエーター式に紙のウーハーは不向きである、と。ポリプロピレンのtangbandのフルレンジをウーハーとして使ったら上手くいきましたから。しかし、思ったよりパッシブラジエーターの動きが少ないんですよね。そこで内容積を減らす方向で作り始めました。

パッシブラジエーター式は密閉の亜種です。密閉箱は内容積を大きく取らないとバスレフのようには低域が出ません。なのに小型化?そう小型化する方がパッシブラジエーターは元気になるのです。

これはNFJさんから入手した箱です。

裏側にパッシブラジエーターを設置しました。ユニットはアルミなので採用しました。密閉度を高めるためにはアルミやポリプロピレンの方が良い結果になると思っていますので。

最初は通常の吸音材程度に入れていたんですが、更に内容積を減らす実験として角材を中に入れてみました。内容積を元の半分~2/3程度でしょうか、そのくらいに減らしたらパッシブラジエーターの効果がぐいぐい出て来たんですよね。なるほど。なるほど。と。

結局パッシブラジエーターは空気バネの力で動作します。内容積が大きいと、ユニットが大きく動かないとパッシブラジエーターを動かすほどの空気の密度になりません。つまり内容積が少なければユニットの少しの動きでも空気の密度が上がりダイレクトにパッシブラジエーターに空気バネの力が働くということです。

その後どんどん小型化させていきました。面白いようにパッシブラジエーターが動きます。

手のひらサイズですが、凄いですよ、これ。ブイブイ言わせてます。ユニットはソニーのbluetoothスピーカーSRS-XB23をばらしてユニットとパッシブラジエーターを外して作りました。

この辺で実はパッシブラジエーター式の小型スピーカーは飽きてしまいました。

小型化してパッシブラジエーターでブイブイ言わせるのは楽しかったのですが、やはり生粋のオーディオマニアですからすぐに音に不満が出て使わなくなります。上のものも元のSRS-XB23と比べたら10倍は良いですよ。オーディオグレードにありますよ。でも、やはりいくらデスクトップ用のスピーカーといえどオーディオマニアの自分を満足させるものではありません。

品位が足りない、というか、ない。全て実験兼ねて作ってるので、ほぼすべてMDFです。MDFって木材というより紙ですからね。メーカー製の小型スピーカーはすべからくMDFです。MDFならましな方です。パーティクルボードみたいのが当たり前にありますからね。うん、やはり品位足りないよね。いくら化粧板や化粧シートで綺麗に見せても所詮紙。

ま、箱の素材だけで品位が決まるわけではないですけど。

最近、広葉樹シリーズ始めましたけど、端材が出るんですよね。

これ集めてパッシブ式小型スピーカーまたやろうかな。自分が机の上に置いておいて愛せる美しく音の良いものを今なら作れるかも。

という流れです。前置きだけで2000字超えてしまいましたが、こんな文章読んでくれる方には感謝しかありません!

で、実は自分用に作ったんですよ。愛せる品位ある小型スピーカーを。

ユニットは2.5インチ最強のマークオーディオのCHN40です。天板と底板はアフリカケヤキで、それ以外はアフリカンチークです。nonDuct-B126 B127 B128そしてB114の端材で作りました。

手に乗る可愛いサイズ。

いやー、美しく出来たぜ。デスクトップスピーカーとして申し分のない出来と言えよう!

少し大きめのパッシブラジエーターを使いました。内容積は600CC弱。おそらくですが空気バネの動作的には3リットル程度の密閉型くらいと思います。それをこれだけの小型にまとめられるのはパッシブラジエーターのおかげです。

予想外にトーンコントロール使わなくてもそこそこいけます。youtubeにジャズのミックスを数十秒ずつ再生したものを上げましたが、最初の50秒ちょっと(3曲分)はトーンコントロールなしのフラット再生です。その後ラウドネススイッチをオンにして増強したものを再生しています。

トーンコントロールで少し低域持ち上げてあげるとブイブイ言い出します。

ただし、内容積減らしてパッシブラジエーターをブイブイ動かすデメリットもあります。それはパッシブラジエーターから盛大に中高音も出てくることです。完璧な点音源スピーカーですが、ステレオイメージ的にはnonDuct-Bのスピーカーとは違い音像は膨らみます。キャビネットの内圧が大きいという事は硬い広葉樹は小さくて頑丈なキャビネットでも盛大に鳴ります。ある意味この小さなキャビネット全体がユニットみたいなものです。しかし、それが気持ちよくなっているのはメリットです。机の上でステレオイメージ再生、とかではなくて、美しく響く品位あるスピーカーになっています。

正直なところ昔机の上で使ったLS3/5aよりずっと良い。

狙い通りというより狙い以上の出来になりました。

早々に売り切れになりました、ありがとうございました。以下のお声を頂きましたのでご紹介しておきます。

★想像以上でずっと聴いています。
この小ささでこれほどきれいに聴こえるとは想像以上でした。ホームページの記事で試行錯誤されているからこその音だと思います。
また化学物質のアレルギーの妻も問題ないとのことでした。
スピーカーが使えるようになってから、嬉しくてずっと聴いています。
見た目もよく、丁寧に作られていて、とても良いスピーカーに出会うことができました。大切にします。

ととても気に入って頂けたことが伝わる嬉しいお声を頂きました。お声を頂いた事へお礼をした際に更に

昼間より少しボリュームを上げて聞いているのですが、小さいスピーカーなら低音が弱めなのは仕方がないと思っていたのですが、全く気にならなくなりました。衝撃です。

と低域に関しても満足された様子でパッシブラジエーターの使い方に自信を持てました。今後、この小さなスピーカーの路線も考えていこうと思い始めるきっかけになりました。

次回の小型スピーカーは更に小型化したマイクロスピーカーの予定ですが、ユーヴェ工房として発表できるかまだわかりません。制作中ですが手間取っている最中です^^

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