音としてのnonDuct-B124siの完成度はどのスピーカーにも負けないものと思っていますが、仕上げの完成度が不完全なことをマークオーディオの中島社長に指摘されていました。
そこでオーディオ店の店頭に並べても遜色のない仕上げにするべくここのところ動いていましたが、ようやく仕上げの点でも音にも負けないものが出来上がってきました。
仕上げについてはプロに任せることにしました。偶然にも大学の先輩が近所で木工所(草苅木工さん)をやってることを知り相談に乗ってもらっていました。上の写真は出来上がってきたサンプルです。
左から
1 総ブナの超ど級キャビネットの124si。
2 総ヒノキのキャビネットの124si
3 総白タモの124si
以上三台は組み立てから仕上げまで全て草苅木工さんにお願いしたものです。
一番右は組み立てまではこれまで通り私が組み立てたnonDuct-B124siですが、ラウンド加工と塗装のみをお願いしたものです。
長野県にあるマークオーディオの工場にある視聴室です。
ここでオーディオ誌のSTEREOの編集長さん、STEREOのWEB担当者さん、マークオーディオの中島社長、社員の菅野さん、そして私の5人で比較視聴をしました。
持ち込んだのは3セット、総ブナの124si、白タモの124si、オリジナルの124siです。
3セットをそれぞれ再生してどれが良かったかを挙手してもらいました。
ブナを支持したのはSTEREO誌の二人。白タモを指示したのはマークオーディオの二人。
好みの問題という感じでしたが、音のインプレッションとしては共通していました。総じてブナは高域がキラキラしたイメージ。白タモは低域が充実したイメージ。
まだサンプルの段階ですが、白タモとブナはとても魅力的なキャビネットになっております。ただし、ネックは価格です。特にブナは高額なのでこのまま製品化するとペアで20万を超えそうです。
上は総ヒノキの124siです。ユニットは通常のアルミ振動板ではなくマイカ振動板です。サンプルのキャビネットですがオリジナルによく似た音と言えます。オリジナルは針葉樹の利点を最大限活かした設計ですが、ヒノキも針葉樹のせいかオリジナルによくにた音の佇まいです。これがヒノキ版の製品化を見送った理由です。オリジナルと同じ価格で販売できれば別ですが、オリジナルより3万円ほど価格が上がるので、オリジナルと音の差があまりない以上値段の分オリジナルには勝てません。
そこでこのサンプルは販売に回すことにしました。しかし、ユニットはマイカ版にしてみました。オリジナルより爽やかな音と言えます。低域のガッツはオリジナルが上と思いますが、マイカ振動板の特性か爽やかで繊細な音と言えると思います。このユニットは特別に中島さんに譲って頂いたので数に限りがあり、定番商品に採用することは出来ないのでこのサンプルキャビネットに採用してみました。
オリジナルとの音の違いのインプレッションを書きましたが、f特的には違いはありません。まあf特なんてのはその程度の指標でしかありませんけど。しかし、見た目のイメージともマッチしたのかアルミ振動板よりもマイカ振動板のほうがふさわしいと感じたのは確かです。
さて、まだ最終決定になったわけではありませんが、今後、ブナ版、白タモ版の製品化を進めるつもりですが、オリジナルはそのまま継続します。価格はかなりの差が生じますが、モノとしての価値はその価格以上のものがあると思っています。
nonDuct-B124siについて、ステレオ編集長さんのインプレッションがとても嬉しかったので紹介したいと思います。何度かステレオイメージについて別記事で書きましたが、私がスピーカー開発に際して最重要課題にしているのがそのステレオイメージです。ステレオイメージが再生できるスピーカーはそうはありません。そのステレオイメージを教えてくれたのはオーディオ評論家の傅信幸先生でした。その傅先生はよくこう表現していました。「精巧なミニチュアのステージが見えるかのように出現する」と。
そして一緒に温泉に入り様々な話をした後で、こう話してくれました。
「とても精巧な、正確なミニチュアのステージが目の前に浮かんでいた」と。
やったぜ、やはり僕のスピーカーは思った通りの音が出ている、とドヤリましたわ。
さて、別の話をもう一つ。
以前お話しした小型パッシブラジエーター式スピーカーについての続報です。
これです。これが今後STEREO誌のオンラインショップで販売されることになります。マークオーディオとユーヴェ工房のコラボ商品としてです。設計はそのままですが、ラウンド加工などの仕上げが多少変わります。まだ未完成ですが、マークオーディオの一連のスピーカーのデザインを踏襲したものになりそうです。現在試作中ですので完成したらまた追ってご報告します。
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