ステレオ スピーカーコンテスト 2023

スピーカー

毎年恒例のステレオ誌の読者スピーカーコンテストの最終選考に残ったスピーカーを聴いてきました。今月号(19日発売)の記事になり、まだ発売前ですが先取りでご紹介!編集長さんにHPで記事にする旨伝えて、発売後ですよね?と聞いたら「発売前でも全然問題ないです、紹介しちゃってください!」とのことなのでいくつかご紹介します。

聴いたのは最終審査に残ったモデルたちです。順位は決定していますが、それは19日発売のステレオで確認してくださいませ。

個人的に気になったものを少しご紹介します。

モノづくりをする人間として尊敬の念さえ覚えた作品ベストがこれです。

花梨を使った作品ですが、とにかく作りが素晴らしい。気の遠くなるような地道な削りの作業のたまものです。持って帰りたくなったスピーカーです。制作者さまの丁寧な仕事ぶりには頭が下がります。これペアで150万とかの値段ついていても高いとは思えないほどでした。個人的な趣味の問題ですが、ユニット取り付け部をホーン形状にしなかったら音もベストだったかもしれません。

セカンドベストはこちら。

この作品のつくりも本当に頭が下がる丁寧な作業です。バックロードで低音もりもりでした。一体何か月かかったのだろうか?と思う見事なつくりにびっくりです。

作りは遊び心に溢れF1マシンのサイドポンツーンを模したダクト?を持つこの作品が個人的には音のベストでした。

2ウェイです。デラックスなネットワークが底面にあり本格的な-12/octの2ウェイ構成。スピーカーの音作りがわかってる、と一聴すぐにわかるバランスの良さです。私も以前、同じ振動板によるフルレンジ2発の2ウェイスピーカーを作りましたが、つながりの良さはまるでフルレンジです。一緒に聴いていた今回のコンテストのユニットの供給元であるマークオーディオの中島社長はネットワーク嫌いの方なのですが、その彼に「ネットワークについて考え直さないとならないかも」と言わしめた見事なつながりを見せた音でした。これは本当にお見事でした。

次に個人的な音のセカンドベストと言える作品を2モデル。

非常に美しい塗装が施されていますが、アルミを使ったキャビネットとのことでした。解像度が際立ったかのようなかちっとした音で、鳴らした瞬間に「野上さん、これ好きでしょ!」と中島社長に言われましたが、そうです、好きです、ご名答です(笑)サンドステージが美しく展開されていました。この点ではすべての作品中このスピーカーがベストと思いました。が、しかし、個人的にはダクトをノンダクトバスレフ式で再チューンしたい・・・以下自粛。失礼なこと言ってすみません。それほど素晴らしいサウンドステージだったので。素晴らしい音でした。

このスピーカーは一言でいうならば「粋」とでも表現したくなるスピーカーで、両サイドに自作のパッシブラジエーターが設置されている非常にうまい設計です。パッシブラジエーターを金属ではなく木材にし、中央にボルトとナットで重量を足す方式で、見事なアイデアです。木材で面積を稼ぎ中央のボルトとナットで重量を増減しつつベストな重さのボルトにしたのでしょうか、パッシブラジエーターがばっちり動作しているのかサイズを超えたスケール感が出ていました。これもお見事といえる音でした。

コンセプト賞があればこのスピーカーに与えたい、と思ったのがこのスピーカーです。

まるで砲弾のようなスピーカーです。3Dプリンターで制作したようです。完全点音源を目指したコンセプトは私は非常に好きです。ただし、ステレオ視聴室のような空間ではなく6畳間くらいの空間で小音量で聴きたかったですね。とても軽くて薄い?せいか音量をあげる視聴には向いていないように思いました。このようなコンテストには音的には不利な音量になってしまったかもしれません。でも、このコンセプトは真似したいものがあります。内部定在波をなくす波波のデザインなどの発想はお見事でした。

編集長と中島社長です。音が良かったモデルを再視聴している様子です。編集長は花梨の2段重ねのモデルがお気にいりのご様子でした。中島社長がお気に入りだったモデルはこちら

ユニットの背部をキャビネット背面に固定したモデルでユニットを強固に取り付けるという面ではスピーカー設計者誰もがベストと思える取り付け方法です。しかし、いろいろ困難や制約が出る難しい方法です。音も素晴らしかったです。

 

ざっとご紹介しましたが、同じユニットなのに全く異なる音の世界がとても新鮮でしたし、普段スピーカーはキャビネットが支配している、と言っていることが証明されたかのような聴き比べになりました。キャビネットが異なればこれだけ音が変わってしまう、というとても良い体験が出来ました。

ステレオ編集部さんにはこの場をお借りして感謝します、ありがとうございました。

 

 

 

 

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