さて今作のBlockDuct-T174si「フラット2」です。初のトールボーイ型のブロックダクトスピーカーになります。ブロックダクトスピーカーのシングルコーンスピーカーとしては174作目ということになります。実は未発表の型番があるので正確には171作目くらいですが。
実は147という未発表の型番があるのですが、これはトールボーイ型の超ど級スピーカーの設計でした。うちの4インチのフラグシップ機のBlockDuct-A138siをベースにトールボーイ化した設計でした。板材も切り出し製作しようとしたのですが、あまりにも巨大で重くなる上、1本20万のプライスタグをつけて売れるとはとても思えず棚上げになっています。
しかし大容量化したブロックダクトスピーカーの製作はずっと頭の中にあり、現実化させたいとずっと考えていました。そこでペアで20万以下で製品化するべく取り組みました。
今作のテーマは背圧がかからない大容量化ののびのびとした音。たっぷりとした低域に支えられたゆとりある再生音。大型スピーカーとしてのスケール感。これを4インチ一発で実現します。ネットワークを持たない大型スピーカーの良さを追求したものになります。

そして今作のもう一つの重要なテーマはダクトの設置方法です。通常は一つのダクトですが前後に向かい合うように同口径のダクトを配置しています。
可能な限りキャビネット内の空気をスムーズに、そして無駄なく活用することを常に考えていますが、ダクトを前後に向かい合わせる最大の狙いは「前後で発生する空気振動と位相の乱れをキャンセルすること」にあります。
車のエンジンに、ポルシェやスバルで有名な「水平対向エンジン」という形式があります。これは左右向かい合ったピストンの運動によって互いの振動を打ち消し合い、極めて滑らかな回転を生み出す構造です。
この水平対向エンジンが振動を打ち消してストレスのない吹き上がりを実現するように、JuveAcousticsの『Flat2』システムは前後に同口径ダクトを対向配置。キャビネット内の過剰な背圧や空気抵抗を完璧にキャンセルします。
背圧によるレスポンスの遅れや突っかかりをゼロにし、どこまでも伸びやかでスムーズでゆとりのある低音再生の実現を目指しました。

サイズ230×900×300
仕様板材:アカシア集成材(15mm厚)
バッフルは30mm厚で下部1/3は45mm。リア下部1/3は30ミリ厚。
懸念はこの大容量キャビに対して板材の厚みが通常の私のスピーカーと比べて強度が足りていないという点です。ただしそれは分かった上での割り切った設計になります。それでも市販トールボーイと比べれば全然遜色のないキャビの強度です。
フラグシップ機のキャビの強度が常軌を逸しているだけ、ということでもあります。

ダクトは前後同じ位置に設置しているためスピーカーの向こう側が見えています。わかりやすいようにスピーカーの後ろにチップスターののりしおを置いていますが見えていますね^^

内部は企業秘密ですが、日の字型の桟を入れて左右の側板は一体化させています。吸音材は全面にびっしりと貼り付けいます。内部の音は吸音、がうちの基本方針です。内部の中高域の音を前の音に乗せないことが重要と考えているからです。低域部だけをブロックダクトで取り出すイメージです。

そこで肝心の音です。
狙い通りの音になっています。低域の量感は狙いよりももっと出ています。バッフルは30mmと強度はそこそこですが、側板15mmではやはり強度的には足りません。しかし、この足りないというのはJuveAcousticsが求める贅肉をそぎ落としたようなマッシブなギリシャ彫刻のような体脂肪5パーセント以下の肉体のような音を求めるのには足りない、ということです。私が求める音世界は圧倒的な静寂さです。キャビネットの存在がわからなくなるように空間から音がふわっと立ち上がってくるステレオイメージのリアルさを求めています。
BlockDuct-A138siやBlockDuct-AG146siはそれを高次元で達成できているフラグシップモデルですが、これらのモデルはスピーカーから音が聴こえてこないような音の在り方を見せてくれる超ハイスピードサウンドです。
今作のフラット2はこれらのウルトラハイスピードサウンドではありません。箱鳴り以外の位相の乱れはほぼありませんので、位相が揃った美しいステレオイメージはしっかり表現できています。スピーカーの間の空間にしっかりと音像が浮かびますし音場は広大です。しかしスピーカーが鳴っているのはわかりますし、上記フラグシップモデルが示す研ぎ澄まされた音世界とは異なり、少しフォーカスのエッジが曖昧に表現されます。とはいえうちのフラグシップモデルと比べたら、という話です。市販のネットワーク付きマルチウェイのどのモデルよりもハイスピードサウンドと言えるのは確かです。
そしてこのほんの少しのゆるさと新技術の水平対向配置の強力なブロックダクトシステムが相まってピラミッドバランスのスケールの大きな音になっています。フルオーケストラを気持ちよくゆとりをもって再生出来る能力は大型スピーカーならではです。内容積40リットルを超える大型スピーカーに4インチ一発を入れるスピーカービルダーはあまりいないと思います。バックロードは別としてですけど。
大容量の内容積は後面開放スピーカーのような背圧ストレスのない伸びやかな音の良さを、しっかりとした低域に支えられた音として表現できます。そして4インチ一発による原理的に位相の乱れのない良さを併せ持つ傑作を生みだしてしまったぜ、と悦に入っています。
このスピーカーを聴いた家人も「え、凄いね!」と、しかし、「でもあなたの作るスピーカーの音じゃないね。」ですと。
「わかってるがな、こういう音を目指したんだよ! どちらかというと、こっちのほうが恐らく万人受けする音なんだよ。誰が聞いても凄いと言ってくれる音や」
これを私の求める音世界に仕上げるには、やはりペアで40~50万になってしまうかな。

3点支持のインシュレーターを付属させます。ペアで送料込みで173000円で販売予定です。低域の量感に関していえば大きいから当然とは思いますがJuveAcoustics史上ナンバーワンです。私には出過ぎかな?と思うレベルです。
今作のダクトの水平対向配置は私が予想していたよりもずっと効率が良いダクトになりました。このFlat2システムは今後も研究していくつもりです。小型化する際のメリットに続いて大型化する際のブロックダクトの使い方の大きな可能性をしっかりと確認できましたぜ!




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