ノンダクトバスレフ式について

スピーカー

小型ブックシェルフ等で低域をしっかり再生するためには、バスレフ型が最適と考えていますが、大きなメリットとともにデメリットもあります。一番大きなデメリットはダクト自体の共振によるスピーカーのSN比の低下があると考えています。ダクトは一定の周波数を共振させて低域を増強させる方法ですが、ダクト内の空気の流れで増強させるということはダクト自体もその周波数で激しく共振してしまいます。このダクト自体の共振を止めるためにブチルゴムを巻いたりの鳴き止めをしますが、不十分です。そこでダクト自体の共振を止めるためにダクト=筒(紙やプラスティック、塩ビ等)をつけずにダクトの長さの厚い板に穴を開けることでその穴をダクトとして動作させようというものです。例えば内径3センチで長さ7センチのダクトをつけたい場合板厚を7センチにしてそこに3センチの穴を開ける方法です。ダクトとエンクロージャーを一体化させることによりダクトによる不要共振を限りなくゼロにしようとするダクト方式です。

ダクトが筒状ではないのでダクト入り口で生じる風切り音がありません、メーカーでもダクト入口の風切り音は分かっているようで入口にウレタンなんかを巻いてそれを低減しようとしていますね。上の写真でもわかるようにノンダクトバスレフ式では原理的にそれが発生しません。

そしてスピーカー内部に筒状のダクトを設置した場合ダクト周辺にデッドスペースが出来、ダクト周辺の空気溜まりが悪影響を与えますが、その悪影響もnonDuctバスレフ式は発生しません。

これは以前作成したダブルバスレフの箱ですが、第一空気室は無視してください。筒状のダクトの場合緑の線のところが問題になると考えています。この緑の辺りは空気の密度が一番高くなる部分です。水色の部分とともにこの周辺の空気が有効活用されているとは考えにくい。ただ、内容積とダクトの直径と長さを計算して塩ビ管で作った場合でもほぼ計算通りにダクトは働きますからちゃんと活用されてはいます。ただノンダクトバスレフ式の方が「より有効に」活用されていると考えています。 ダクトのfd値を下に引っ張ると、例えばf0が100Hzのユニットの時にfd値を65Hzにする場合などで、ダクト周辺がきちんと動作していてもその上の帯域が落ち込みます。これはスピーカー設計に携わる人なら常識と言えます。 私自身も初期型のノンダクトバスレフ式はそれを懸念してf0からマイナス20Hzくらいをfd値に設定する設計をしていました。しかし、現在はマイナス40Hzでもfd値周辺の上の帯域を落ち込ませずにフラットに音を出せるようになっています。ノンダクトバスレフ式で沢山設計してきましたが、この点が一番のストロングポイントなのかもしれないと考えています。 この一番のストロングポイントの原因が、上の写真の緑や水色の部分の不都合と言える空間が物理的に存在しないことなのではないか?と現在は考え始めています。 筒状のダクトがないバスレフ式ということで、ノンダクトバスレフ式と命名しています。  

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