オーディオの基礎知識 音の好みを把握する 03

さて位相の話です。

位相に敏感な耳というのはあるのでしょうか?

以前アマチュアオーケストラの録音をしたものをそれを指揮した方が私のシステムで聴きたいから聴かせてくれとなったことがあります。オケのメンバー数人とともに聴き始めたのですが、右チャンネルの位相が逆転していました。なんとも気持ち悪い音です。すぐに指摘したのですが誰も気づいていないんです。そもそも演奏者は演奏の出来を聴きにいきますので録音の良し悪しなど気にもしていないのかしら?その時のシステムは演奏者が身体を動かすとそれがわかるレベルで再生出来ていたので、位相が狂った音を再生すると私にはすぐわかります。しかし、皆さん気づいてなかったですね。指摘後、なるほどー、ほんとだ。となりましたけど。

前回の妻の話もそうですが、おそらくの話になりますが、位相は意識して聴きに行かないとわかりにくい類の事なのかもしれません。

そもそも位相とはなんぞや?です。当初は位相について調べると下の画像とともに説明が出てきますよね。

波形が1/4ずれると90度位相がずれるとかそんな感じの説明です。

はっきり言います、ネットにある位相の説明を読んでもわかりません。ですからひとまず「位相」で検索して位相について調べるのは置いておきましょう。

スピーカーから再生された音に位相がどう関係しているか、という面から説明します。

例えば1本6万円の30cmウーハーを搭載した3ウェイでボーカル、ベース、ギターのトリオを聴いたとします。ボーカルは中央に定位していると思います。ギターはやや左側、ベースはやや右側のように。ステレオで再生すると当然どんなスピーカーでも余程のことがない限りボーカルは中央にいます。その時、ボーカルはどこにいますか?と聞かれた場合の返答はおそらく「真ん中らへん」とか中央辺りを指さして「その辺りかな」という返答になります。「そのあたり」という大体の定位している場所になると思います。

しかし、位相がきっちり揃ったスピーカーの場合同じ質問をするとこう答えます。「そこにいる」と。「そこに立って歌っている」になります。

位相が揃ったスピーカーの場合、演奏者の位置がボディが口元が実在しているかのような音の佇まいになります。よくいうホログラフィーのようにそこに見える、です。音の輪郭がシャープだ、なんて表現がありますが、音像の立体感の輪郭がシャープにフォーカスされているような感じになります。

これが位相の揃った音のイメージです。

話は戻りますが、位相に敏感な人はこの音の出方を知ると後戻りできなくなります(笑)

低音の話で遺伝子レベルで低音を嫌がる人がいるのかもしれない、という推測の話をしましたが、この位相の話もそれに似ているのかもしれないと考えています。狩りの最中に見えない獲物の位置を探るためには獲物が発する物音でその位置を嗅ぎ取る能力が必要になりますが、その能力が高いというのはまさにこの位相の話なのではないか、と私は考えています。

続きます。

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