アナログプレーヤーの使いこなし

オーディオ全般

アナログプレーヤーの使いこなしについて少しお話します。

一番大事なことはなんだと思いますか?ベテランのレコード愛好家ならわかってると思いますが、CD時代に入ってからアナログプレーヤーを導入した方などにおさらいの意味で使いこなしの重要点を書きたいと思います。

大きく分けてアナログプレーヤーには2種類あります。リジッド系とフローティング系です。アナログプレーヤーは振動制御が一番重要なので、振動に対する制御方法の面からのお話です。

フローティング系の代表は英国LINNのLP12が上げられます。リジッド系は我が国のヤマハのGT2000を上げておきます。日本のプレーヤーはリジッド系がメインでフローティング系のプレーヤーはあまり思い浮かびません。

振動対策が見事になされたプレーヤーとしてフローティング系の雄LP12がありますが、本当に優れたプレーヤーでそこそこの台の上で見事な音を聴かせてくれます。外部からの振動を浮かせることで遮断する方法で、レコードを乗せるプラッターを上から触ると頼りないくらいふわふわで完全に浮かせていることがわかります。それとともにアームも動くので、その動きを見るだけで設計意図がよくわかります。

ソルボセインという振動を吸収する素材がありますが、リジッド系のプレーヤーの足の下に挟むだけで音が激変する魔法のアイテムがあります。

上から卵を落としても割れません。

これをLP12の足の下に入れてもあまり音に変化がありません。何故なのか?ヤマハやKenwoodのリジッド系のプレーヤーの下に入れると大幅に音質アップするのにLP12にはあまり効きません。外部からの振動に対する対策がプレーヤーとして為されているからなのです。フローティングサスペンションによってです。しかし、日本のリジッド系のプレーヤーは振動対策が不完全なのです。ユーザーの使いこなしがないと振動対策が不完全です。はっきり言います。日本のリジッド系のプレーヤーは振動対策をきちんとして初めてLP12に対抗できるようになります。いや、むしろ対策次第では上回れます。

振動対策って何?

まずは第一にハウリング対策です。私の個人的な体験から言わせて頂くと、リジッド系でハウリング対策が完璧に為されているとフローティング系では表現しえない驚くような音が体験できます。アナログプレーヤーを乗せる台の下に床下の土の中までモルタルを流し込み、その部分だけ周りから完全に独立させたのですが、CDの音があまりにも不完全な媒体であると思ってしまう音になりました。

さてハウリングがどのレベルで起こっているのかを確認することがまず最初にすべきことです。

アナログプレーの上にレコードを乗せ、ボリュームを絞り回転させずに針を盤面に落としてください。

回転させていないので音は出ません。ゆっくりとボリュームを上げてください。スピーカーの再生能力の問題も関係しますが、ボリュームを上げていくとウーハーがゆらゆら動きだしたり、ウワーンというハウリング音が聞こえてきませんか?ハウリング音が聞こえたらすぐにボリュームを戻してください。そのハウリングが起り始めるボリューム位置マイナス2時間分の位置がその装置でアナログプレーヤーを楽しめる位置という感じになります。これをハウリングマージンと言いますが、ハウリングマージンをどれだけ取れるかが重要です。設置状況によってはハウリングが12時前に起こるようなこともあります。振動対策が不完全という事です。

このハウリングマージンが大きければ大きいほど素晴らしい音になります。

ハウリングゼロになるとフルボリュームにしてアナログプレーヤーの周りの床を足でドンドンと踏み鳴らしてもスピーカーからそのドンドンという音は聴こえてこない状態になります。これを上述した床下地中までモルタルを流して周りからは完全に独立した状態にしたときに実現できました。しかし、これは通常は難しいのでなかなか聴くことは出来ない音と言えます。集合住宅や2階以上の部屋ではそもそも物理的に無理な話です。

リジッド系のプレーヤーはリジッド系と言っても実は足の部分がリジッドになっていません。完全に足の部分までリジッドにするとハウリングマージンが取れずに使い物になりません。本体は物量で振動を受け止める作りでも足の部分は振動をプレーヤーに伝えないようにサスペンション機構を持っているものがほとんどです。簡単なゴム系のものが多いですが。

前置きが随分長いですが、ここからが本題です。リジッド系のプレーヤーの使いこなしの最重要課題はこのハウリングマージンをどれだけ取れるかです。基本はプレーヤーは重量級ラックに置くのが一番です。ただ重量級ラックの上に乗せただけでフルボリュームしてもハウリングが起きない場合も稀にあるとは思いますが、そのような状況なら床がとても頑丈なオーディオ的には幸運な環境です。大抵は重量級ラックでもプレーヤーをただ置いただけではハウリングが発生してしまいます。ハウリングはスピーカーから出る音=振動がプレーヤーを伝って針がその振動を拾ってしまうことにより起こります。

一番ダメな設置方法を紹介します。

ラックの上にプレーヤーとスピーカーを設置しています。そう、ここです(笑)写真はテクニクスの1200ですが、非常に優秀なプレーヤーですが、同じラック上面にスピーカーとプレーヤーを設置しているのでハウリングマージンがきちんと取れていません。見にくいですが上で紹介したオレンジ色のソルボセインを挟んでいますが、ボリューム位置で1時半くらいでハウリングが発生します。ソルボセインなしだと12時くらいで発生しだすのでダメダメな振動対策といえます。ま、しかしスピーカーテスト用の場所でアナログ鑑賞がメインではないので割り切っています。この写真で奥の棚にあるスピーカーに切り替えるとハウリングマージンは2時間ほど増えます。スピーカーから出た音はいったん床まで行き、床から伝わる振動がラック→プレーヤー→カートリッジという経路になるのでプレーヤーに伝わる外部振動が減るからです。

スピーカーから出る音=振動をアナログプレーヤーに伝えない事、それが一番重要なアナログプレーヤーの使いこなしと言えます。一番簡単な方法は、ソルボセインやそれに準ずるような振動を吸収する素材のものをプレーヤーの4つの足の下に挟むことです。ソルボセインは私の感覚で言わせてもらうとボリュームの位置で2時間分くらいハウリングマージンが増えます。ほかにも振動吸収系の素材があるのでソルボセインがベストとは言いませんが、私は信頼しているのでソルボセインを使い続けています。

大雑把に書いていますけど、使うスピーカーやアンプによって、条件が違えば対策方法も異なってくるのがアナログの難しいところです。難しいですがそこが面白いとも言えます。

ヤマハのGT2000(私の一番好きなプレーヤーでメインのアナログプレーヤーです)が、ハウリングマージンがほとんど取れない状態の場合、例えばボリューム位置で1時間半とかしか取れない場合は、フルボリュームでハウリングが起きない状態で使う最廉価のプレーヤーに簡単に負けてしまいます。

ということでハウリングマージンがきちんと取れているかのチェックがまだの方は上記の方法で試してみることをお勧めします^^ハウリングマージンが増えると音はクリアになり、音のエッジが立ってきて解像度がぐっと増します。

 

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