オーディオとは—–振動制御が本質です

audioの基礎知識

アナログ時代はいい音で再生するために振動制御に明け暮れていました。如何に動くべき所を自由に動かし、それ以外の振動をシャットアウトするか、それがオーディオの本質でした。

アナログプレーヤーが入力のメインだった頃はこの振動の制御を使い手が如何に上手く行うかが使いこなしの全てでした。しかしデジタル登場以降、この振動制御に苦労しなくても簡単にクリアな音が再生出来るようになりました。その結果オーディオの本質が振動制御、振動対策であるということが軽視されているように思います。

アナログプレーヤーの場合、動いて良いのはターンテーブルの回転とカートリッジの針先のみです。それ以外の振動は全てがノイズです。トーンアームを考えてください。動かないとダメなパーツですよね。しかし、アームは振動してはいけないのです。レコードの溝にそって極僅かずつ内側に移動しなければならないのにも関わらず振動してはいけないのです。アナログ信号はMMカートリッジで出力の高いもので10mv程度、低いと5mv下回ります。MCカートリッジだとその1/10です。CDは2Vですからどれだけ微弱な信号かわかります。しかもその微弱な信号はアナログ波形なのです。その微弱な信号0.2㎷をフォノイコライザーアンプでプリアンプで増幅してからアンプに入力しなければなりません。この増幅しなければならない状態の中で、このアナログ波形を乱すような振動をシャットアウトしないとならないのです。プレーヤーのダストカバーを指でトントンと軽くたたくとスピーカーから盛大に音が出てくるレベルで振動に直に影響されます。畳の部屋でプレーヤーの前を歩くときはそーっと歩かないと足音がスピーカーから出てしまうなんて事は当たり前でした。

ですからアナログプレーヤーは回転しなければならないターンテーブル(プラッター)の回転以外の振動を消し、動かないとならないアームの振動を消し、外部からの振動をレコード盤に伝えないように苦心していたのです。そしてアナログプレーヤーは音量を上げた際に起こるハウリングという絶対に逃れられない宿命のような振動も対策しないとなりませんでした。

このように音の入り口が振動制御が全てと言ってよいような状況なのがデジタル登場以前のオーディオです。

振動対策をプレーヤー自体にパッケージ化したもので最も理にかなって優秀だと思う代表的なものの一つがLINNのLP12です。

一度セッティングしたら外からの振動も内側の振動も浮かすことでクリアしようとした歴史的名器と思っています。

振動対策には外部からの振動を遮断するためにスプリングで浮かすことにより解決を試みるようなLINNのような方法もありますが、物量を投入して頑丈にすることにより振動を遮断しようとする方法もありました。

柔を極めたLINNに対して剛の代表格であるヤマハのGT2000です。

大好きなプレーヤーですが、使いこなすには床やこれを載せるラックも剛でなければ真価を発揮するのが難しいのが欠点といえば欠点でした。しかし完璧に使いこなせれば凄い音です。

アナログプレーヤーについては大好きなので話し出すとキリがないので使いこなしも含めてまた別の機会に掘り下げます。

話が少し脱線しましたので、少し戻します。

アナログが振動制御が重要なことはわかって頂けたと思いますが、現在はデジタル入力にデジタルアンプだよ?CDやデジタルアンプを指でコンコン叩いても影響ないじゃん!なんて声も聞こえてきそうです。そうなんです、そこが問題なんです。私はそう考えています。

確かにアナログ時代より影響は少ないです。でもいくらデジタル処理するからといって影響がゼロではないのです。オーディオは使いこなしも含めてわずかな対策の積み重ねが音の変化に繋がる世界なのです。デジタルアンプと言っても信号をデジタル処理しているだけで、電源部や出力自体はアナログアンプと変わりません。一部のフルデジタルアンプは別としてですが。確かに影響は少ないと言えますがデジタルアンプでさえ振動の影響を受けます。CDプレーヤーに関してはアナログプレーヤ―程ではないですが振動の影響がかなり音に影響することはよく知られた事実です。代表的なものが信号を読み取りする際にエラーが必ず発生するのですが、そのエラーを補正する回路が必ず入っています。その補正回路は音に悪影響を与えるのでエラー補正を最小限にするためのCDトランスポート機構が色々開発されました。

アナログプレーヤー時代と同じ手法で浮かすことにより振動を遮断する柔タイプやCDのディスクを同経程度の金属ターンテーブルに押し付けてディスクの回転振動を抑える剛タイプや読み取りするためのピックアップの振動をゼロに近づけるためピックアップを固定しディスクを移動させることで振動を抑える設計のものなどもありました。それぞれ代表的なのはオラクル、ティアック、ソニーなどです。

入力機器やアンプの振動対策についてざっと解説しましたが、オーディオは振動対策、振動制御が重要であることの一端くらいはわかって頂けたでしょうか。

続きます。

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