BlockDuctについて

スピーカー

小型ブックシェルフ等で低域をしっかり再生するためには、バスレフ型が最適と考えていますが、大きなメリットとともにデメリットもあります。
一番大きなデメリットはダクト自体の共振によるスピーカーのSN比の低下があると考えています。ダクトは一定の周波数を共振させて低域を増強させる方法ですが、ダクト内の空気の流れで増強させるということはダクト自体もその周波数で激しく共振しています。このダクト自体の共振を止めるためにブチルゴムを巻いたりの鳴き止めをしますが、不十分です。  

そこでダクト自体の共振を止めるためにダクト=筒(紙やプラスティック、塩ビ等)をつけずにダクトの長さの厚い板に穴を開けることでその穴をダクトとして動作させようとして考案したものが「BlockDuct」方式です。

例えば内径3センチで長さ7センチのダクトをつけたい場合、板厚を7センチにしてそこに3センチの穴を開ける方法です。ダクトとエンクロージャーを一体化させることによりダクトによる不要共振を限りなくゼロにしようとするダクト方式です。

 

エンクロージャー内部のダクト入り口部分です。上の写真はダクト長75mmなので板厚が75mmになっています。

上の写真はBlockDuct-A138siのエンクロージャー内のダクト入り口部分です。このスピーカーはダクト長125mmなので板厚は125mmになっています。

BlockDuct-A138siの内部構造。バッフル側下部は125mmの板厚になっています。

ダクトが筒状ではないのでダクト入り口で生じる風切り音がありません、メーカーでもダクト入口の風切り音は分かっているようで入口にウレタンなんかを巻いてそれを低減しようとしていますね。上の写真でもわかるようにBlockDuct方式では形状的にそれが発生しません。また内部のダクト入り口部分はラウンド加工を施し、徹底的にダクトのデメリットを排除しています。

筒状ダクトのデメリットとしてJuveAcousticsが考えるもう一つ大きな問題がデッドスペースの空気密度です。

スピーカー内部に筒状のダクトを設置した場合ダクト周辺にデッドスペースが出来、ダクト周辺に空気溜まりが出来ることで空気の密度が高くなる場所が出来ると考えています。

これは以前作成したダブルバスレフの箱ですが、第一空気室は無視してください。筒状のダクトの場合緑の線のところが問題になると考えています。この緑の辺りは空気の密度が一番高くなる部分です。水色の部分とともにこの周辺の空気が有効活用されているとは考えにくい。ただ、内容積とダクトの直径と長さを計算して塩ビ管で作った場合でもほぼ計算通りにダクトは働きますからちゃんと活用されてはいます。ただBlockDuct式の方が「より有効に」活用されていると考えています。 ダクトのfd値を下に引っ張ると、例えばf0が100Hzのユニットの時にfd値を65Hzにする場合などで、ダクト周辺がきちんと動作していてもその上の帯域が落ち込みます。これはスピーカー設計に携わる人なら常識と言えます。 私自身も初期型のBlockDuct式はそれを懸念してf0からマイナス20Hzくらいをfd値に設定する設計をしていました。しかし、現在はマイナス40Hzでもfd値周辺の上の帯域を落ち込ませずにフラットに音を出せるようになっています。BlockDuct式で沢山設計してきましたが、この点が一番のストロングポイントなのかもしれないと考えています。 この一番のストロングポイントの原因が、上の写真の緑や水色の部分の不都合と言える空間が物理的に存在しないことなのではないか?と現在は考え始めています。   

ダクトをキャビネットをくり抜き一体化することで、内容積を100%活用し、ダクトの不要共振を排除するのがJuveAcousticsの独自技術「BlockDuct(ブロックダクト)」式です。

このBlockDuctを活かすためにキャビネットを木の塊のように制作しユニットの音のみを再生するのがBlockDuct-A138siであり、BlockDuct-B130si、BlockDuct-124siです。

これらのスピーカーは極限までキャビネットの静粛性を高めています。上記にBlockDuct-A138siの内部写真を載せましたが、内部中央に斜めに走る板が左右の側板を連結し、キャビネットをより高剛性化します。そしてダクトから漏れる中高音をカットする役目も果たしています。

またダクトに流れ込む空気を一切無駄なく活用できる非常に合理的な構造になっています。

コメント